トランプ関税によるインフレ懸念で暗号資産に注目、新しい仮想通貨に爆発的成長の兆し
トランプ前米大統領が関税政策を強化し、今後さらなる関税導入への懸念が広がる中、経済学者や投資家、政策立案者の間で不安が高まっている。 市場もその影響を受けて急落した。S&P500指数は過去1か月で11%下落し、ダウ工業株30種平均も同期間で10.6%の下げ幅を記録した。 テクノロジー株は特に大きな打撃を受け、世界的なサプライチェーンへの影響が懸念されている。NASDAQ総合指数は過去30日間で12%以上下落した。 暗号資産市場も例外ではなく、月曜日にはビットコイン(Bitcoin)の価格が一時75,000ドル(約1,130万円)を下回った。その後はやや回復したものの、イーサリアム(Ethereum)は14%の下落となった。 しかし、こうした関税リスクが拡大する中、暗号資産にとっては好機となる可能性もある。 暗号資産ETFと新プロジェクトに避難先の可能性 月曜日にビットコインが下落したにもかかわらず、同資産はすでに回復基調にある。 今回、ビットコインが2020年から2022年のコロナ禍に見られたような下落を免れている背景には、現在の暗号資産市場がより成熟していることがある。中でも、ETF(上場投資信託)のような市場変動に耐えるためのツールが整ってきたことが要因の一つである。 とはいえ、BTCに連動するETFも影響を受けており、月曜日には1億920万ドル(約160億円)の資金流出が発生した。ただし、当日の総取引額が65億9,000万ドル(約9,950億円)だったことを踏まえると、その割合は限定的である。また、過去2週間には9億4,100万ドル(約1兆4,200億円)が各種BTC現物ETFに流入していた。 ETF市場はBTCにとどまらず、今後さらなる拡大が予想される。 例えば、4月8日(火)には米国初のXRP ETFがローンチされる予定だ。Teucrium社が提供する2倍レバレッジ型商品で、Rippleの代表的な暗号資産が、まさにこの混乱期に登場する。 このタイミングが逆に有利に働く可能性もある。世界各地で暗号資産の法整備が進む中、貿易戦争の余波が暗号資産市場にも波及することが予想される。 一方、米中が関税を巡って激しく対立する中、香港では静かに暗号資産の新たなガイドラインの整備が進められている。最新の規制では、ライセンスを取得したプラットフォームに対してステーキング(保有資産を預けて報酬を得る仕組み)やETFの提供が認められる方向で検討が進められている。 高まる関税への反発、暗号資産へ向かう投資家たち トランプ前大統領が全輸入品に対して一律10%の関税を課す方針を発表し、中国やEUなど特定国にはさらに高い関税を導入する方針を示したことで、各国や市場から強い反発を招いた。 これに対し、中国は即座に同等の報復関税で応じたことから、本格的な貿易戦争への懸念が一層強まった。 著名な金融関係者たちも懸念を表明している。ヘッジファンド界の大物でありトランプ氏の支持者でもあるビル・アックマン氏は、関税拡大に対し90日間の停止を提案。企業の投資意欲の減退、事業の停滞、大規模な人員削減を伴う「経済的な核の冬」が訪れると警鐘を鳴らした。 また、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長も、新関税がスタグフレーション(景気停滞とインフレの同時進行)を引き起こすリスクがあると指摘し、金融政策の調整が困難になる可能性を示唆した。 そのような状況下で、米国では一般投資家の間でも暗号資産への関心が高まっている。暗号資産を保有するアメリカ人(5人に1人)のうち76%が、自身のポートフォリオにとって「良い影響があった」と回答している。 ...